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経営層の6割が AI を使い始めた。経営者に残る仕事は何か

経営層の6割が AI を使い始めた。経営者に残る仕事は何か

執筆者

Rui Onodera CTO

生成 AI を業務で使う経営者は、この半年で4割から6割に増えました。

パーソル総合研究所が2026年5月に実施した調査では、経営者の生成 AI の業務利用率は約6割で、2025年10月の約4割から半年で約20ポイント伸びました。事業責任者層にいたってはすでに8割を超えています。経営者や事業責任者が自分の仕事で AI を使うのは、もう当たり前になりつつあります。

経営者は資料を読んで整理する仕事から AI に任せ始めています。そして AI が整理した結果をもとに、何をするかを決めて、その責任を取る仕事が経営者の手元に残っています。

大企業の経営者は自分の仕事で使っている

LINEヤフーの出澤剛氏は、会議の前に社内 Wiki や過去の議事録を AI で分析し、提出された会議資料と突き合わせて論点を洗い出していると話しています。資料を作ってほしいときや新しい取り組みを始めたいときも、まず自分で AI を使って7〜8割まで形にしてから依頼するそうです。

DeNA の南場智子氏は、リマインドを担う AI エージェントと Slack でやり取りしながら毎日の仕事を進め、指示と違う動きは自分で指示し直していると話しています。

ソフトバンクグループの孫正義氏は、ChatGPT を毎日10回か20回は問い合わせやアイデアの壁打ちに使い、社員と議論するのと並んで AI にも「これどう思う」と聞いていると株主総会で述べました。

Microsoft の Satya Nadella 氏は、アナリストのレポートを AI に渡して自分でダッシュボードを作らせたと決算説明会で述べました。

いずれの事例も、経営者は会議や判断の前の準備に AI を使っています。

小さな組織でも同じことが起きている

静岡県掛川市で板金加工を手がける従業員約70人の町工場、コプレックの小林永典社長は、自分で生成 AI を使って人事情報と財務状況を管理するシステムを作りました。さらに社員13人には450万〜500万円をかけて、生成 AI でシステムを作る教育を始めたと取材で答えています。

愛知県東海市の唐揚げ店「からあげ!ごっち」の店主、甲斐淳一氏は、イベント出店の損益計算やチェックリスト、看板のデザインを AI に任せています。100万円を先払いする4年契約の提携話を持ち込まれたときは、AI が消費税分は戻らないことや4年の縛りを指摘し、甲斐氏は見送る判断をしたそうです。

サンフランシスコのコーヒー焙煎所 Henry’s House of Coffee のオーナー、Hrag Kalebjian 氏は、売上の日次レポートを AI に作らせています。約1時間で設定し、毎朝メールで受け取っていると Google の公式ブログで話しています。

私自身もエンジェル投資家として、1人で事業計画の審査を行っていますが、資料の読み込みや市場調査などは AI に任せています。審査1件にかかる時間は、従来の2日から半日ほどに縮みました。

組織の規模が変わっても、経営者が共通して AI に任せているのは下準備や資料作成、仕組み作りです。

経営判断と結果責任が残る

OpenAI が2026年6月に公表した方針文書は、AI の能力が上がるほど重要になる人間の役割をこう書いています。

As AI systems become more capable, the human role becomes more important: setting direction, making tradeoffs, applying judgment, and bringing values, taste, care, and responsibility to the work.

A key long-term role for people will be deciding what is worth doing.

AI システムがより高い能力を持つようになるにつれて、人間の役割はより重要になる。すなわち、方向を定めること、取捨選択すること、判断を下すこと、そして価値観、センス、気遣い、責任を仕事に持ち込むことである。

人々にとっての長期的な鍵となる役割は、何をする価値があるかを決めることになるだろう。

私が事業計画を審査するときも、いくら投資するかは自分で決めています。AI は判断材料を瞬時に整理してくれますが、投資の結果責任を負うのは私だからです。またその事業が人類の発展に寄与するのか、投資する価値があるのかの判断は、私の価値観に依存するからです。

エンジニアの仕事では、実装とテストが AI に移り、エンジニアは仮説検証のサイクルを回すことに集中できるようになりました。経営者の仕事でも同様に、下準備や資料作成は AI が担い、経営者は経営判断に集中できるようになっていくと私は見ています。

経営者の仕事は自分で使った人から変わり始めている

この記事で挙げた事例の経営者は、会議の準備や資料作成、損益計算といった自分の仕事で AI を使っています。

自分の仕事で AI を使うかどうかも、経営者自身が決めることです。6割の経営者はもう AI を使っています。

これから先の AI の時代では、経営者には経営判断と結果責任が残ります。

出典

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